「脱獄の用心棒(68)」

QUEL CALDO MALEDETTO GIORNO DI FUOCO(伊)「燃え上がる暑き日」、MACHINE GUN KILLERS(英)「機関銃の殺し屋ども」劇場未公開、TV公開題名「脱獄の用心棒」

カテゴリー(Robert Woods)

監督パオロ・ビアンキーニ、脚本ホセ・ルイス・マリノ、パオロ・ビアンキーニ、クラウディオ・ファイローニ、フランコ・カルデローニ、撮影フランシスコ・マリン、音楽ピエロ・ピッチオーニ、出演ロバート・ウッズ、ジョン・アイアランド、イブリン・スチュワート、ロベルト・カマルディエル、ジェラード・ハーター、ジョージ・リガルド、ラダ・ラシモフ

本作品は、テレビで公開された未公開作品の中でも隠れた傑作のひとつ。主演のロバート・ウッズがメキシコ人のペコスとは全く異なった個性でさっぱりとひげを剃り落とし、黒い革の手袋もスマートな北軍の情報将校を演じている。

北軍の情報将校クリス・ターナー(ロバート・ウッズ)は、裏切りの濡れ衣を着せられて投獄される。しかし、彼の抜群の能力を見込んだ上層部は彼に重大な使命を達成させるために故意に脱獄させる。その使命とは、南軍に連れ去られた発明家ガトリングを捜し出して連れ戻すことだった。ガトリングの発明は南北戦争の形勢を逆転させるほどの価値があるのだ。こうして、密命を帯びたターナーとビショップ(ジェラード・ハーター)をリーダーとする南軍のゲリラ、そして南北両軍に誘拐したガトリングを売り込もうとする凶悪なメキシコ人タルパス(ジョン・アイアランド)の強盗団一味との凄まじい戦いが展開される。

この作品の魅力は、ターナーが見せる様々な秘密兵器を用いてのガンプレイの数々。公開当時流行だった007をはじめとするスパイアクションの影響を多く受けていることは明らかだ。ターナーが、南軍ゲリラのアジトに殴り込むシーンでは、ショットガン、コルトネイビーをはじめ、さまざまな銃器を要所で効果的に用いながら、バッタバッタと敵をなぎ倒していく。

さらには、印象に残る流血シーンがある。強盗団のボスの不意打ちを食らい、ターナーは左胸に銃弾を受けてしまう。ターナーが身につけているのは、シャツのみだから「荒野の用心棒(64)」のように防弾チョッキを着けているわけでもなさそうだ。左胸を押さえた手の下からはドクドクと血が流れている。どう言い訳しても主人公が助かる状況ではない。墓穴が掘られ、主人公の体は 穴の中へ。次々と土がかぶせられていく。どうなることかと見ていると、墓穴から手が伸びてきて2人の敵が瞬時に倒される。地面からゾンビのようにはい出してくるターナー。血まみれの手袋を苦痛に満ちた表情で取り去ると弾丸は掌を貫通していた。ターナーの手袋には分厚い鉄板が仕 込んであって、撃たれた瞬間に心臓の上を覆って弾丸をくい止めていたのだ。少なくとも映画の中での理屈のつけ方としては納得させられる。

彼が死んだと油断している強盗団の前に、すでに倒した南軍の将校に変装して現れるターナー。ガンベルトを相手に渡す仕草を見せるやベルトを振り払って拳銃を抜いての連射を皮切りに再び繰り返される銃撃戦、ついに馬車から叩き落したタルパスにガトリングガンの銃弾を多量に叩き込み延々と続く銃撃戦に幕が下ろされる。

全編撃ち合いとアクションで構成され、観る者を飽きさせることがない。タルパスを演じるジョン・アイアランドも「地獄のガンマン(67)」のときの、悲愴感漂う中年男から、一転して、立小便はするは、足の指でナイフを投げるは、という強烈な個性を持った粗野な強盗団のボスを楽しそうに演じている。ピエロ・ピッチオーニの音楽も派手さはないがエレクトーンを用いたジャズ風の独特の旋律で他のマカロニにはないモダンな雰囲気を出していた。テレビ公開時の「脱獄の用心棒」という題名は、主人公が牢から解放されるという設定で、脱獄が物語に大きな意味をなしていないことから、いささか、的外れな印象を受ける。