「荒野の10万ドル(66)」

100,000 DOLLARI PER RINGO(伊)「リンゴのための10万ドル」、ONE HUNDRED THOUSAND DOLLARS FOR RINGO(英)「リンゴのための10万ドル」劇場公開作品

カテゴリー(Richard Harrison)

監督アルベルト・デ・マルチーノ、脚本ジョルジュ・シモネッリ、アルフォンゾ・バルカザール、撮影フェデリコ・ララーヤ、音楽 ブルーノ・ニコライ、出演リチャード・ハリスン、フェルナンド・サンチョ、マッシモ・セラート、エレオノラ・ビアンキ、ジェラルド・ティーチ、リー・バートン

日本で公開されたリチャード・ハリスン主演の代表作といえるだろう。ただ、この作品が比較的知られているのは、ひとえにブルーノ・ニコライが作曲しボビー・ソロによって歌われるその主題歌のお陰だといえる。TVでマカロニウエスタンが放映されるときに音楽や効果音が、めちゃくちゃに入れ替えられたり、挿入されたりという許 しがたいことがよく行われるが、そのとき最も頻繁に用いられているのがこの曲だった。それだけこのメロディは、典型的マカロニウエスタン主題歌と呼べる要素を持っている。

物語の展開も単純な正義と悪の対決という流れとは異なり敵味方が入り乱れる複雑な展開になっており、1965年のイタリア映画の興行成績の第7位というヒット作だ。ちなみに上位5位まではいずれもマカロニウエスタンであり、いかに初期のマカロニウエスタンにエネルギーがあったかが伺える。物語は開幕から、波乱の展開を見せる。インディアンに追われる赤ん坊を連れた夫人を白人の男が助けるのだが、なんと彼はインディアンを片付けたのちに夫人を槍で刺し殺してしまう。男の狙いは何なのか?物語に引き込まれる開幕だ。

男の正体は武器の密輸を企てる悪党3兄弟の長男トム・チャーリー(ジェラルド・ティーチ)。彼は、インディアンに夫人殺しの罪を着せて部落を全滅させようとしていたのだ。しかし、馬に乗せられていた赤ん坊は生き残ったインディアン達によって育てられていた。数年後、町に流れ者リンゴ(リチャード・ハリスン)がやって来る。彼は町で知り合った賞金稼ぎのチャック(フェルナンド・サンチョ)と協力して、悪党のトムを拉致する。リンゴは、トムの一味が取引するメキシコ軍に雇われており、トムを人質に取ってメキシコ軍は10万ドルの武器代金を踏み倒そうと目論んでいたのだ。

ところが、リンゴは自分が拉致したにもかかわらずトムが囚われている事実をトムの兄弟たちに密告してメキシコ軍の砦を襲撃させる。悪党たちの間を立ち回って金をせしめるというマカロニウエスタンにふさわしい悪党ヒーローぶりだ。しかし、ここに、リンゴを実の父親と勘違いしたインディアンに育てられた少年(マカロニでは、お馴染みのロイス・ルッディ)がからんできて、リンゴは善人にならざるを得なくなってくる。

インディアンが登場して悪党一味の掃滅に力を貸したり、フェルナンド・サンチョが白人の賞金稼ぎの役を演じたりするなどの特徴も珍しい。惜しむらくは、主人公リンゴもほかのキャラクターもそのスタイルにマカロニ独特の洗練されたファッションセンスが感じられないこと。また、他の作品と違ってリチャード・ハリスンが薄い頭のままで登場しているので、老けた印象が強く格好良さが希薄であるのも残念なところだ。