「荒野の無頼漢(71)」

TESTA T’AMMAZZO,CROCE SEI MORTO…MI CHIAMANO ALLELUJA!(伊) 「お前を殺すぞ、お前は死んだ…人呼んでアレルヤという」、HEADS YOU DIE…TAILS I KILL YOU(英)「お前を殺すぞ、お前は死んだ…人呼んでアレルヤという」劇場公開作品

カテゴリー( George Hilton)

監督アンソニー・アスコット、脚本ティト・カルピ、撮影ステルビオ・マッシ、音楽ステルビオ・チプリアーニ、出演ジョージ・ヒルトン、アガタ・フローリ、チャールズ・サウスウッド、ロベルト・カマルディエル、アンドレア・ボシック、パオロ・ゴッツリーノ、リック・ボイド、リンダ・シーニ

ヒルトンの当たり役となったアレルヤシリーズの第1作。黒のロングコートにネクタイ、黒い革の手袋というおしゃれで飄々としたアレルヤというキャラクターは、ゆとりと明るさが売り物のヒルトンにとってはうってつけ。コメディタッチでありながら粋で格好良いウエスタンに仕上がった。

舞台はマキシミリアン皇帝支配下のメキシコ。革命軍から雇われた一匹狼の流れ者アレルヤ(ジョージ・ヒルトン)は、革命の武器を買うため皇帝の密使から宝石を強奪することを依頼される。しかし、アレルヤが宝石を奪う前に、皇帝の密使は僧院に身を隠した謎の強盗団から皆殺しにされ宝石も奪われてしまう。必殺の下剤?を武器に強盗団から宝石を奪い返したアレルヤだったが、なんと取り戻した宝石は偽物、本物はどこに消えたのか、謎を追うアレルヤの前に、尼僧の姿をしたアメリカの女スパイ(アガタ・フローリ)、更にはロシアの王子と称するコサック(チャールズ・サウスウッド)が現れて四つ巴の争奪戦を展開する。

アレルヤはスーパーマン、常に涼しげな表情で難しい仕事をやってのけるのが魅力。真剣さ、壮絶さは失われてしまった分、シャレた場面の積み重ねで楽しませてくれる。コメディ部分も、強盗団の食事に下剤を仕込んだり、洗濯屋で泡だらけになって大乱戦したりと盛りだくさん。特に、この作品で楽しいのはバラエティに富んだ登場人物と秘密兵器。マカロニファンの間ではあまりに有名な脱力系武器、ミシンを改造したミシンガンをはじめ、ただの泥棒のくせにアレクセイエフ・ワシーロビッチ・クロポトキン公爵とたいそうな名を名乗るロシアのコサックは、バラライカにロケット砲を仕込んでいる。またアガタ・フローリ演じる女スパイはガーターベルトに小型発信機を隠しており、宣伝の謳い文句ではないが、まさにモンキー・パンチの漫画の世界。

消えた宝石はどこにあるのかという謎解きも、何と本物はやたらと大きいイミテーションの宝石の中に仕込んであったという、洒落たどんでん返しが待っている。1970年代に入ってからマカロニウエスタンは、明るく楽しい方向に路線変更していったが、その典型を見る上で貴重な1本である。