「必殺の二挺拳銃(68)」

DUE PISTOLE E UN VIGLIACCO(伊)「神に愛でられし拳銃使い」、TWO PISTOLS AND A COWARD(英)「二挺拳銃と臆病者」劇場公開作品

カテゴリー(Anthony Steffen)

監督カルビン・ジャクソン・パジェット(ジュルジュ・ステガーニ)、脚本オーギュスト・フィニョッキ、レミジオ・デル・グロッソ、撮影サンドロ・マンコーリ、音楽カルロ・リスティケリ、出演アンソニー・ステファン、ケン・ウッド、リチャード・ワイラー、ルイーザ・バレット、マリオ・ステファネリ

スタッフ、キャストを見たら期待できそうな印象だ。場面ごとのスチールを見ると絵になる構図も多い。ところが観てびっくり、カルビン・ジャクソン・パジェットはやはりマカロニウエスタンとは何かがわかっていないと呆れさせられた。サーカスのショーで活躍する主人公ゲーリー(アンソノー・ステファン)は早撃ちの名手であるが、気が弱く実戦を経験したことは無い。そんな彼が、たまたま強盗団の仲間割れの現場に出くわしたため、強盗を退治したヒーローと勘違いされてしまう。その名声に便乗して名前を売っていくが、そこに本物の強盗が現れて、実戦で真価を発揮しなければならなくなるという物語。

そこに牧場をのっとられ父を殺された少年との友情がからんで、ゲーリーが勇気を取り戻すまでが描かれていく。しかし、何より主人公が臆病者という設定はまずい。我々がマカロニウエスタンに期待する男の執念、生きざまというものが描けるはずがない。途中で主人公が散々悪党からからかわれるシーンも情けなさ過ぎる。ラストでは銃撃戦を展開しなければならない必要から、突然主人公が勇気を取り戻してガンガン撃ちまくりはじめるが、この展開も無理やりこじつけていて不自然である。

サーカス小屋が舞台という設定も作品を軽くする原因になっている。殺し屋役でせっかく良い味を出しているケン・ウッドもこの作品では個性を発揮することができなかった。「ガンクレイジー」のリチャード・ワイラーもスマートなボス役で登場するが、雇ったはずのケン・ウッドから撃たれてあっけなく姿を消す。あくまで主人公は強く格好良くなければマカロニの魅力は帳消しになってしまうことを再認識させられる作品だ。

カルロ・リスティケリの音楽も、例によってマカロニらしさはゼロ。本作が、日本で劇場公開されたことが信じられない。