「ジャンゴ・ザ・バスタード(69)」

DJANGO IL BASTARDO(伊)「ジャンゴ・ザ・バスタード」、DJANGO THE BASTARD(英)「ジャンゴ・ザ・バスタード」劇場未公開、DVD公開題名「ジャンゴ・ザ・バスタード」

カテゴリー( Anthony Steffen)

監督セルジオ・ガローネ、脚本セルジオ・ガローネ、アントニオ・デテッフェ、撮影ジーノ・サンティーニ、音楽バスコとマンキューソ、出演アンソニー・ステファン、パオロ・ゴッツリーノ、カルロ・ガッディ、リカルド・ガローネ、ジーン・ルイス、テオドラ・コーラ、ラダ・ラシモフ

ステファンの主演作品の中でも特に出来の良いものの一つ。脚本にもアントニオ・デテッフェという本名でステファン自ら関わっている。内容は、過去に主人公を殺し(傷つけ?)部隊を全滅に追いやった南軍の裏切り将校たちへの復讐物語だ。しかし、物語よりガンプレイとムードで魅了するというマカロニの鉄則が確かに守られており、実体のある人間なのかそれとも幽霊なのかと思わせる神出鬼没の復讐者というキャラクターは後のクリント・イーストウッド監督・主演作品「荒野のストレンジャー」にも影響を与えたであろうと噂させるほど。後半では主人公が撃たれて血を流すことから、生きた人間であることがほぼ判明するが、黒いマントをまとって闇の中にスーッと立ち、あっという間に姿を消すヒーローの不気味さは、アングルに凝ったカメラワークとあいまって強烈な印象を残す。

本作はオープニングから素晴らしい。雨上がりの町をゆっくりと独り歩む黒マントの男、その姿を頭上から、あるいは馬車の車輪越しに捉える見事なカメラワーク。そして、男は酒場の前に立つと、マントの中に隠し持っていた十字架を地面に突き立てる。十字架に書かれていたのはサム・ホーキンスの墓碑銘と本日が命日という記述。酒場にいたホーキンス一味が血相を変えて飛び出してくると、目にもとまらぬ早撃ちであっという間に全員を葬り去る。マカロニウエスタンのエッセンスを抽出したような素晴らしいカッコよさ。

その後も展開も期待を裏切らない。ホーキンスをはじめ、次々と倒されていく男たちのことから、町の実力者ロッド・マードック(パオロ・ゴッツリーノ)は、ある不安にかられる。昔、マードックは、殺されたホーキンスたちと南軍を裏切って北軍を手引きし、部隊を全滅させたという過去があったからだ。そのときの誰かが生き残って復讐をしているのかもしれない。そう考えたマードックは、腕利きの殺し屋たちを雇い入れて謎の復讐者を待ち受ける。しかし、謎の復讐者は神出鬼没、幽霊のように音もなく現れては瞬く間に消え去っていく。

恐怖心にかられた殺し屋たちはマードックに金を叩き返し、任務を降りようとするが、そのことからマードック子飼いの手下たちと殺し屋たちの銃撃戦が始まる。その様子を冷ややかに見つめる黒マントの男ジャンゴ(アンソニー・ステファン)。ついに、生き残った手下たちを皆殺しにしたジャンゴは、ロッド・マードックの墓碑名が記された十字架を立ててマードックの屋敷の前で待ち構える。1対1、最後の決闘が始まるのだった。

主人公であるジャンゴがなぜ幽霊のように行動できるのかは謎のままで処理されているため、物語は悪党であるマードックの視点から展開する。部下の仲間割れや、狂気じみた弟ルーク(ルチアーノ・ロッシ)に苦悩する様子も詳しく描かれておりそうした意味からも興味深い作品といえる。それにも増して見事なのはやはり、ステファンが見せる数々のガンプレイとラストの対決シーン。バスコとマンキューソの凄みのあるテーマ曲にのって十字架をはさんで対決する宿敵同士という構図はマカロニウエスタンならではの魅力に満ちている。