「クリスマスの一撃(94)」

BOTTE DI NATARE(伊)「クリスマスの一撃」、THE TROUBLEMAKERS(英)「トラブルメイカーズ」劇場未公開

カテゴリー( Terence  Hill)

監督テレンス・ヒル、脚本ジェス・ヒル、撮影カルロ・タファーニ、音楽ピノ・ドナッジオ、出演テレンス・ヒル、バッド・スペンサー、ルース・バッツィ、アン・カスプリク、エヴァ・ハスマン、ブーツ・サザーランド

21世紀になってもなお、イタリア映画ファンの間で絶大な人気を誇るテレンス・ヒルがマカロニウエスタンへのオマージュを込めて盟友バッド・スペンサーと再びコンビを組み、自らメガフォンを取って制作した作品。1994年というマカロニウエスタンは過去のものとなった時代でも、ヒルとスペンサーコンビの明るく楽しいウエスタンの雰囲気はそのまま残っている。ただ、二人とも年を取ったなあという印象はぬぐい切れない。

物語は、トリニティとバンビーノ兄弟の後日談という感じ。賞金稼ぎで世渡りをするトラビス(テレンス・ヒル)は、母親のモー(ルース・バッツィ)から、クリスマスの夜には兄のモーゼス(バッド・スペンサー)の家族といっしょに故郷に戻るよう促す手紙を受け取 る。すでに所帯をもち大勢の子持ちとなっているモーゼスは母と折り合いが悪く、なかなかトラビスの誘いにのろうとしない。一計を案じたトラビスは、ストーン(ブーツ・サザーランド)という無法者を二人で捕まえようと提案し、モーゼスを連れ出すことに成功。その間に、モーゼス一家を故郷のモーの元に一足先に帰したトラビスは、ストーンを捕らえては逃がしを繰り返しながら、故郷への道をたどっていく。

ところが、モーゼスの息子が父親へのプレゼントの馬を準備する途中で蛇に噛まれているところに出くわし、もはや小細工を必要としなくなった二人は、瀕死の息子を連れて一目散に故郷の母のもとに向かう。幸い息子の命も助かり彼が命がけで運んできた馬に涙するモーゼス。大勢の家族に囲まれての幸せなクリスマスイブのホームパーティが始まる。

しかし、そこへストーンの奪回を企てる一味が殴り込んできた。とはいいながらも、ストーン一味もクリスマスの幸せな子供たちの声と満天の星空に武器を思わず手放してしまうような心優しき連中ばかり。結局いつもの殴り合いで片が付くという、ほのぼの西部劇。全編に優しさが満ち溢れており、マカロニの執念、情念、非情さとは、対極にある作品だが、マカロニの魅力は実はこんな荒くれどもの思いがけない温かさを垣間見るところにもあるのだ。