マカロニウェスタン大全 「神は許せど、俺は許さず」 1966

2021-04-22

DIO PERDONA…IO NO!(伊) 「神は許せど、俺は許さず」、 GOD FORGIVES,I DON’T(英)「神は許せど、俺は許さず」劇場未公開

カテゴリー(Terence  Hill)

監督ジュゼッペ・コリッツイ、脚本ジュゼッペ・コリッツイ、撮影アルフィオ・コンティーニ、音楽アンジェロ・オリバー・ピノ(カルロ・リスティケリ)、ブルーノ・ニコライ、出演テレンス・ヒル、バッド・スペンサー、フランク・ウォルフ、ホセ・マヌエル・マルティン、ルイス・バーブー、フランク・ブラナ

ジュゼッペ・コリッツイ監督、テレンス・ヒル主演による“キャット・スティーブンス”シリーズの第1作目にあたる(2作目は「荒野の三悪党(67)」、3作目は「ブーツヒル(69)」)。同じような原題の作品もいくつかあって混乱を招いているが、この作品が元祖である。

物語は、列車が襲われて30万ドルが強奪される事件から始まる。保険会社のエージェントであるエープ(バッド・スペンサー)は凶悪なビル(フランク・ウォルフ)一味の犯行だと目星をつけ調査を始めるが、ビルは1年前に賭博師のドッグ(テレンス・ヒル)から殺されていた。列車強盗のことをエープから知らされたドッグはエープを残し、単独でかつてのビルのアジトに赴く。1年前の決闘は当初から列車強盗を計画していたビルによって巧妙に仕組まれたトリックだった。

一旦はビルの手下に捕らえられたドッグだったが追いついたエープの手を借りて、脱出するだけでなくまんまと金塊を盗み出すことに成功する。しかし、金塊を前にした二人は保険会社に届けるか、全てを自分たちのものにするかで仲間割れをはじめてしまうのだった。その隙をつかれて再び敵に捕らえられてしまう二人組だったが、金の隠し場所を白状しながらも、そのことから部下の裏切りを扇動し、ラストは「続・夕陽のガンマン」をほうふつとさせる三つ巴の戦いが展開する。ここでも、ナイフで拳銃を牽制するフランク・ウォルフとの対決が格好良い。

回想シーンが交錯する工夫されたストーリー、反目し合っていたヒルとスペンサーが友情を育んで行く丁寧な描写など、確かに人気シリーズとして成り立った理由が伺える一遍だ。3部作の中では、サーカスのアクロバットシーンや、コメディ色が排除されて最もマカロニウエスタンらしい作品に仕上がっている。流麗なメロディに乗ってマントをなびかせたスティーブンスが馬を駆るシルエットのシーンなどもマカロニムード満点。豊富な撃ち合いや決闘、マントを翻す主人公の格好良さなどマカロニウエスタンの魅力が満載の優れた作品であることは間違いない。

しかし、いくらなんでも、本作品が1967年にイタリアで公開された同国の映画の中でNO1興行成績を上げたという事実には驚かざるを得ない。他のイタリア映画の名作のみならず、この年には「復讐のガンマン」や「新・夕陽のガンマン」そして「血斗のジャンゴ」などマカロニの代表作が名を連ねているにもかかわらずである。その後もテレンス・ヒルとバッド・スペンサーコンビの作品はいずれもイタリア本国で大ヒットを飛ばしていることを考えるとやはりイタリア人と日本人の感性には隔たりがあるのかもしれない。

なお、当初キャット・スティーブンス役はピーター・マーテルが予定されていたが、たまたま彼はけが(一説では夫婦喧嘩が原因だとか)で撮影ができず、代わって若手俳優のテレンス・ヒルが起用されたという経緯がある。この作品のヒットからヒルはイタリアのトップスターの道を歩むことになり、一方マーテルはこの後鳴かず飛ばずの俳優人生を歩むことになることを思えば、彼らにとって本作品での主演は人生の大きな分岐点だったと言えるだろう。