「荒野の三悪党(68)」

2020-04-30

I QUATTRO DELL’AVE MARIA(伊)「アベ・マリアの4人」、ACE HIGH(英)「最高の手」劇場公開作品

カテゴリー(Terence  Hill)

監督ジュゼッペ・コリッツィ、脚本ジュゼッペ・コリッツィ、撮影マルチェロ・マスチオッキ、音楽カルロ・リスティケリ、出演テレンス・ヒル、イーライ・ウォラック、バッド・スペンサー、ブロック・ピータース、ケビン・マッカーシー、リビオ・ロレンツィオ、ステファン・ザカリアス、

「皆殺しのジャンゴ(68)」に続いて公開されたテレンス・ヒルの主演作品。日本では本作1本しか公開されなかったが、イタリア本国で大変な人気を誇っていた「キャット・スティーブンス」シリーズの2作目でもある。バッド・スペンサーとのコンビに名優イーライ・ウォラックが加わることによって物語の面白さもアクションもぐんと厚みを増した佳作だ。

悪党コンビのキャット・スチーブンス(テレンス・ヒル)とハッチ・ベッシー(バット・スペンサー)は、裏で強盗と組み私腹を肥やす悪徳銀行家ハロルド(ステファン・ザカリアス)から30万ドルを脅し取る。金を取り戻すためハロルドは、死刑囚のカコポラス(イーライ・ウォラック)を脱獄させてキャットとハッチを追跡させようとする。カコポラスはかつてハロルドら3人の仲間から裏切られ、無実の罪で死刑に処せられるところだったのだ。再びカコポラスを利用しようとするハロルドの魂胆を見破ったカコポラスは、ハロルドを殺して牢から脱出すると、キャットとハッチから30万ドルを奪うことにも成功する。

怒りに燃えたキャットとハッチは逆にカコポラスの後を追う。宿敵としてまみえた2人組とカコポラスだったが、2人は次第にカコポラスに共感するようになっていく。カコポラスの目的は彼を裏切った残りの二人への復讐を果たすことだった。一人はメキシコの圧政者パコローザ(リビオ・ロレンツィオ)。メキシコ革命に便乗してパコを倒したカコポラスは、キャットとハッチ、さらには黒人軽業師トーマス(ブロック・ピータース)の協力を得て最後の宿敵である賭博場のオーナー、ドレイク(ケビン・マッカーシー)が経営するカジノに乗り込む。

クライマックスは、ルーレットを合図にする4対4の決闘。床に伏せている大勢の客に足をとられないよう後ずさりしながらポジションをとっていく。流れる音楽はワルツという、ちょっと滑稽ながら緊張感が高まる新手の決闘で面白い。テレンス・ヒルは、「風来坊(70)」から軽くてとぼけたキャラクターに変貌していくが、このキャット・スティーブンスシリーズでは、寡黙でニヒルな典型的マカロニガンマンを演じている。

本作で目立っているのは、やたらと「うちの爺さんが宣うには・・」と格言を 繰り返したり、復讐に乗り込む朝、肝心の本人が寝坊してしまったり、と「続・夕陽のガンマン(66)」におけるテュコのキャラクターをそのまま継承したイーライ・ウォラック。人を喰ったその個性が最初から最後まで観る者を引き付けるが、その点、真面目キャラで登場するテレンス・ヒルや、凄みはあるもののお人よしで、ウォラックから煙に巻かれてしまうスペンサーらが、それぞれの個性を相互に際立たせることに成功している。これは、キャット・スティーブンスシリーズで独自の作風を確立したジュゼッペ・コリッツィ監督の手腕といってよかろう。ちなみに、イタリア語原題「アベ・マリアの4人」は、3悪人に、プロック・ピー タース演じるトーマスを加えた4人組を指している。