マカロニウェスタン大全 「ミスター・ノーボディ2」 1975

2021-04-22

UN GENINO,DUE COMPARI,UN POLLO (伊)「天才、2人組、間抜け」、THE GENIUS(英)「天才」劇場未公開、DVD公開題名「ミスター・ノーボディ2」

カテゴリー(Terence  Hill)

監督ダミアーノ・ダミアーニ、脚本アーネスト・ガスタルディ、フルビオ・モルセッラ、ダミアーノ・ダミアーニ、撮影ジュゼッペ・ルッツォリーニ、音楽エンニオ・モリコーネ、出演テレンス・ヒル、ミウミウ、ロバート・シャールボワ、パトリック・マッグーハン、ジャン・マルタン、レイモンド・ハームストロフ

「ミスター・ノーボディ2」という題名でサントラCD、DVDが国内で販売されている。テレンス・ヒル演じるキャラクターはそっくりだが、「ミスター・ノーボディ」と直接的なつながりはなく、主人公も名無しではなくジョー・サンクスという名前をもっている。豪華なスタッフにより、アメリカでのロケも敢行した1級の作品だが、日本未公開なのが残念。テレンス・ヒル以外は西部劇登場が初めての俳優が脇を固めており、それが逆に新鮮な魅力となっている。

カップルの詐欺師ビル(ロバート・シャールボワ)とルーシー(ミウミウ)は、正体不明の流れ者ジョー・サンクス(テレ ンス・ヒル)のアドバイスで砦に向かうベン・ブロック大佐(ジャン・マルタン)になりすまして、騎兵隊の砦に忍び込む。砦に保管された30万ドルがねらいだ。しかし、砦のハリス少佐(パトリック・マッグーハン)には見破られ、ビルは牢に入れられてしまう。ところがそこに現れたのが、ジョー・サンクス。トンチンカンな会話を交わすジョーもまた捕らえられてしまうのだが、ジョーの座っている座席に金粉が残されていたことから、ハリス少佐は、金鉱に金が残っていることを確信し、ある悪だくみを思いつく。金鉱のある荒野に部落を築いているインディアンに肥沃な土地との交換をもちかけたのである。

しかし、金と思われたのはただの黄鉄鉱にすぎなかった。一杯食わされたと悟ったハリス少佐は、砦の30万ドルを偽札に替えて護送中にジョーに襲わせるという次の手を実行する。ここで、ジョーに騙されていたことを怒っていたビルが二人の裏を書き、本物の30万ドルをもって逃走する。30万ドルをめぐる追いかけっこが始まった。ハリス少佐だけでなく、だましていたと思っていたポールとルーシーもまんまとジョーの手のひらの上で躍らされていたことが最後になって明らかになる。ジョーは その金を土地から追い出されようとするインディアンたちのために使おうとしていることが分かる結末がすがすがしい。

マカロニウエスタンにはなじみのないロバート・シャールボワが、止まった的には100発100中だが、動いている的には当たらないという独特の個性をもったキャラクターを演じ、同じくマカロニ初登場のミウミウも、他作品で見せるお色気演技を封印して、幸せを夢見る素朴な田舎娘を好演している。音楽はエンニオ・モリコーネ、監督は傑作「群盗荒野を裂く(68)」の社会派ダミアーノ・ダミアーニ、さらには、モニュメントバレーを中心としたアメリカロケを慣行とくればよいところだらけのようだが、必ずしもそうとはいえない。

セルジオ・レオーネが演出したと伝えられる冒頭場面をはじめとするシリアスな場面とコメディの場面がちぐはぐなところが大きな問題点。不必要に長く続く追いかけっこ場面なども退屈だ。やはり、社会派監督とコメディの相性はよくないのかもしれない。ちなみに、クラウス・キンスキーもとことんジョー・サンクスからコケにされるガンマン、ドク・フォスター役でゲスト出演している。