「カンガセイロ(70)」

0’CANGACEIRO(伊)「カンガセイロ」、VIVA CANGACEIRO(英)「カンガセイロ万歳」劇場未公開

カテゴリー(Tomas Milian)

監督ジョバンニ・ファーゴ、脚本ベルナディーロ・ザッポーニ、ホセ・ルイス・ペレス、ラファエル・ロメロ・マルチェント、撮影アレハンドロ・ウロア、音楽リズ・オルトラーニ、出演トーマス・ミリアン、ユーゴ・バグリアイ、エドワルド・ファハルド、レオ・アンチェリス、レナート・ロッシーニ、ハワード・ロス

厳密にいえば、ウエスタンの範疇には入らない。西部劇の時代からは少し時間が流れた1920年代のブラジルが舞台になっている。主人公たちの独特の形状をした帽子に象徴されるコスチュームは、やはり西部劇とは異なるものだ。しかし、圧政に対して立ち上がる農民出身の戦闘集団の活躍はメキシコ革命ものと同じ構造を持っており、トーマス・ミリアンをはじめとするマカロニウエスタンの常連キャストやスタッフによるアクションはマカロニウエスタンそのものといってよい。

カンガセイロとは、大地主に雇われてその土地を守る用心棒集団の総称。ちょうど荘園を守るために発生した武士集団のようなものだ。しかし、その中には、圧政者に対抗して農業労働者の側について義賊のような働きをした者も現れたため、ブラジルでは彼らを英雄視する傾向がある。そのため、劇場未公開でNetflixのみ配信されたブラジル映画「荒野の殺し屋(2017)」など彼らを主役にした映画も多く製作されている。

本作の流れは、おなじくトーマス・ミリアンが主演した「復讐無頼・狼たちの荒野(68) 」に似ている。反逆したカンガセイロ集団が、ミナス大佐(レオ・アンチェリス)率いる政府軍によって制圧されるが、その巻き沿いを食って真面目な農夫の青年エスピディート(トーマス・ミリアン)は重傷を負う。瀕死の彼を救った司祭の影響を受け、彼は布教に努めようとするが、国を批判する説教を咎められ、投獄される。そこで同じく投獄されていたカンガセイロ達と脱獄したエスピディートは、布教とは真逆の暴力への道を歩み始めることになる。カンガセイロを率いるようになった彼は、隠されていた統率力を発揮して次々と政府軍を撃破するが、政府に雇われた傭兵ビンセント(ユーゴ・バグリアイ)の説得で、農民を苦しめる無頼のカンガセイロ達を駆逐する目的で政府に協力することを約束する。しかし、エスピディート達に与えられた不毛の土地の地下に石油が眠っていることを知った悪徳政治家ブランコ(エドワルド・ファハルド)が、約束を反故にして、彼らの土地に攻め込んできたため、エスピディートは再び武器を取って立ち上がることを決意するのだった。

民衆を守るためという政府の口車にのせられて、政府の手先になってしまう展開などは「ロビンフッド」「水滸伝」等と同じ、こうした大衆の英雄物語は、根底には共通するものがあるのだろう。