「西部決闘史(72)」

E TORNATO SABATA…HAI CHIUSO UN ALTRA VOLTE(伊)「サバタが帰って来た…すべては逆転貴様は死ぬ」、RETURN OF SABATA(英)「帰って来たサバタ」劇場公開作品

カテゴリー(Lee Van Cleef)

監督フランク・クレイマー(ジャン・フランコ・パロリーニ)、脚本レナート・イッツォ、ジャン・フランコ・パロリーニ、撮影サンドロ・マンコーリ、音楽マルチェロ・ジョンビーニ、出演リーバン・クリーフ、ライナー・ショーン、ジャン・ピエロ・アルベルティーニ、ペドロ・サンチェス、アナベラ・インコントレラ、ジャンニ・リッツォ、ニック・ジョーダン、バジリ・カラス

何とも、調子はずれなこの邦題名。「西部悪人伝(70)」のときも題名に違和感を覚えたが、作品の内容が良かったため、逆にこれまでのマカロニウエスタンの常識を破る洒落た題名という印象が残った。しかし、本作まで来るとあまりに興ざめである。サバタシリーズも3作目になるとマカロニウエスタンから執念と必死さを取り去ったつけが回ってきて取り返しのつかないことになってしまった。

今回サバタは、サーカス一座の一員として登場、サーカスの花形だった歌姫が殺害され、手品師が失踪する事件を追う。殺された歌姫は、実は偽札事件を調査していた諜報員で、手品師のピクル ズが偽札つくりの職人であった。裏で糸を引いていたのは信心深い善人を装った町の実力者マックリントック(ジャン・ピエロ・アルベルティーニ)と銀行家のスイニー(ジャンニ・リッツォ)だ。偽札を本物の札と取り換えて密かに着服していたマックリントックの秘密を嗅ぎつけたのは、サバタだけではなく、サバタのかっての部下で抜け目のない酒場の経営者クライド(ライナー・ショーン)も、マックリントックの妻ジャッキー(ジャクリーヌ・アレクサンドル)をたらし込んで、虎視眈々と漁夫の利を狙っている。襲い来る殺し屋たちを次々に返り討ちにしたサバタは子分になったブロンコ(ペドロ・サンチェス)、エンジェル(ニック・ジョーダン)、ビヨンド(バジリ・カラス)らと共にマックリントックの屋敷に殴り込みマックリントック一味を全滅させると、上前を撥ねようとしたクライドにもきついお仕置きをする。

基本的な流れは「西部悪人伝」と同じだが、やたらと増えた登場人物が話の展開をややこしくするうえにアクションがあまりに安易すぎる。相手の拳銃を靴に仕掛けた磁石で吸いつけたり、太鼓の中に取り付けた拳銃を太鼓を転がしながら撃ったり、はては人間パチンコの登場などおふざけがすぎるのだ。クリーフの余裕もここまでくると格好良さを通り越してお笑いの対象にしかならない。完璧なコメディマカロニとして見てもお笑いで興味を引くまでには至らない。

舞台がサーカスという設定も映画全体を落ち着きのないものにしてしまった原因かもしれない。クリーフが主演していれば間違いなく面白い一流マカロニという思い込みが少しずつ壊れ始めたのは、この作品からだった。それでも、パームピストルやナックルダスターピストルなど珍しい銃器が次々に登場し、ジョンビーニの軽快な音楽が場面を盛り上げる点は腐っても鯛といったところか。