「新・夕陽のガンマン(67)」

DA UOMO A UOMO(伊)「男と男」、 DEATH RIDES A HORSE(英)「馬上の死神」劇場公開作品

カテゴリー( Lee Van Cleef)

監督ジュリオ・ペトローニ、脚本ルチアーノ・ビンセンツォーニ、ジュリオ・ペトローニ、撮影カルロ・カルリーニ、音楽エンニオ・モリコーネ、出演リーバン・クリーフ、ジョン・フィリップ・ロウ、ルイジ・ピスティーリ、アンソニー・ドーソン、マリオ・ブレガ、ホセ・トレス、カルラ・カッソーラ

熱い思いを胸の奥に秘めながらも本人はあくまでも沈着冷静。血気にはやる若者を助けるベテランの味で魅せるというクリーフの個性が最も生かされた大変優れた作品のひとつだ。相棒を演じるマカロニ初主演のジョン・フィリップ・ロウも対照的に復讐に燃える若者を好演し、映画の随所でお互いの魅力を引き立てていた。復讐の旅というサブタイトルが示すように徹底した復讐物語であるが、自らのすべてを賭ける執念というよりも、男の友情が主なテーマになっている。そのため、体がふるえるような迫力という面では1歩譲るものの、2人の主人公が互いに助け合いながら目的を果たして行く様はすがすがしさすら漂わせていた。

ストーリー展開は市川雷蔵と伊藤雄之助が主演した日本映画「新書・忍びの者」と大変良く似ている。幼い日に牧場を襲った5人のならず者から家族を皆殺しにされ、ただひとり生き残ったビル(ジョン・フィリップ・ロウ)は、トランプの入れ墨、顔の傷、耳飾り、ドクロのペンダントなど、仇であるそれぞれの相手の特徴を幼い心に記憶していた。復讐の念に燃えて成長したビルは、その手掛かりを追って復讐の旅に立つ。ところが、ビルの行く手に同じ目的を持っていると思われる初老の男ライアン(リーバン・クリーフ)が姿を現す。「復讐とは冷めた料理」という言葉でビルと手を組むことを拒むライアンだが、ビルが危機に陥ったときには現れて救いの手を差し伸べてくる。

時にはビルもライアンのピンチを助けながら少しずつ共通の敵を追い詰めて行く。酒場の経営者になっていた5枚のエースことキャバノア(アンソニー・ドーソン)を倒し、銀行家で市長選にまで出ようかというウォルコット(ルイジ・ピスティーリ)を次なる標的として狙うビルとライアン。しかし、ウォルコットもしたたかに2人の追撃をかわし、パコとペドロ(ホセ・トレス)の山賊兄弟一味と共に2人が立てこもるメキシコの山村に襲撃を仕掛けてくる。村人を率いながら一味と最後の決戦を戦う2人。砂嵐吹きすさぶ中で行われる2対多の対決は定石の場面ながら様々な趣向で楽しませてくれる。

ところが、この戦いの最中、ビルはライアンの首に仇のひとりの証拠として記憶していた、ドクロのペンダントを見つける。牧場を襲った5人組の仲間だという証拠だ。実際にはライアンは、牧場襲撃に直接加担しておらず、逆に一味から裏切られて20年の刑務所暮らしをしていたのである。幼いビルの命を救ったのも彼なのだが、頭に血が上ったビルにはライアンの弁明も耳に入らない。それまでの展開から、このことは予想できるものの、最後に2人がどうなるのか気になるところだ。

協力して仇であるウォルコットを倒したものの、これまで助け合ってきた2人に対決のムードがみなぎってくる緊迫感溢れるクライマックスが展開される。しかし、観るものの期待を裏切らず、予想通りさわやかな結末を迎える。去り行くビルを見守るライアンが「さらば、息子よ。」としみじみとつぶやくシーンは印象深い。マカロニウエスタンもブームのピークを過ぎてからは、コメディ路線に走るか、このようにがっしりしたストーリー展開でみせるかという2つの方向に別れていったようである。音楽については好き嫌いが分かれるだろうがエンニオ・モリコーネにしか作り得ない独特の旋律を聞かせてくれる。