「怒りのガンマン銀山の大虐殺/ガンファイター(72)」

IL GRANDE DUELLO(伊)「大いなる決闘」、 BIG SHOWDOWN(英)「大いなる決闘」、劇場未公開、DVD公開題名「怒りのガンマン銀山の大虐殺」「ガンファイター」

カテゴリー(Lee Van Cleef)

監督ジャンカルロ・サンティ、脚本アーネスト・ガスタルディ、撮影マリオ・バルピアーニ、音楽ルイス・エンリケス・バカロフ、出演リー・バン・クリーフ、ピーター・オブライエン、ホルスト・フランク、マーク・メッツァ、クラウス・グレンベルク

「夕陽のギャングたち(70)」は当初レオーネの弟子であるジャンカルロ・サンティが演出する予定であったが、スタイガーやコバーンのクレームでレオーネが監督することになったという。そのサンティ監督がやっと独り立ちして演出した作品がこれ。キャストはクリーフの共演者としてジュリアーノ・ジェンマの名前も挙がっていたのだが、これもジェンマの都合でキャンセル。結局新人のピーター・オブライエンがクリーフの相手役を務めることとなった。こうなればサンティ監督は意地でも素晴らしい作品を作って、キャンセルした俳優達を見返してやりたいところだが、現実はそう甘くない。結局、「夕陽のギャングたち」をサンティが監督しなくて良かったというところに結論は落ち着きそうだ。

クリーフの役柄は引退した保安官クレイトン。町のボスであるサクソン老を殺した容疑で追われる若者フィリップ(ピーター・オブライエン)を助けたことから物語が始まる。フィリップは、自分が犯人ではないと主張する。サクソン亡き後も彼の3人の息子デビット(ホルスト・フランク)、イーライ(マーク・メッツァ)、アダム(クラウス・グレンベルク)が町を牛耳っているのだが、この長男デビットが、サクソンの死の原因追及にあまり乗り気ではない。これらのシチエーションから、サクソン殺しの真犯人はデビットではないかという疑念を観る者に抱かせながら興味で引っ張っていこうという意図はわかるのだが、その結末にあまり意外性がないのが致命的。

3兄弟のスタイル個性ともなかなか良い味を出しており、特に、マルコム・マクドウエル似のクラウス・グレンベルク演じる白いスーツできめた三男アダムの個性が秀逸なのだが、彼らの個性が全く生かされていない。ラストの対決では「クレイトンは早撃ちだから俺達がやられてしまう。」「3人で一度に撃てば1発は当たるだろう。」と情けない会話を交わすありさま。悪党の方が悲壮な決意で決闘に臨むようでは、盛り上がりに欠けることおびただしい。

一方、若者フィリップを演じるピーター・オブライエンは、荷馬車をシーソー代わりに屋根に飛び上がったり、屋根から回転して落ちながら、隠れている敵を射殺したりとアクロバットのようなガンプレイを随所に見せて くれていたが、いかんせん線が細すぎて凄み不足。白いシャツに白ズボンというスタイルも下着の上にベストを羽織っているように見えて主人公の軽いイメージを助長してしまっていた。3兄弟やフィリップの個性を生かしてクールな魅力を生かせるようにソリーマ監督あたりが演出していたらもっと面白くなったのではないか、と惜しまれる作品だった。

なお、序盤にフィリップから撃たれたクレイトンは無傷のまま、口から弾丸を吐き出して見せるという不可思議な場面が描かれている。あたかも弾丸を歯で受け止めたかのように見えるが、これは、事前に弾丸を薬莢から歯でかじり取っていたという意味だろう。このあたりにも監督サンティの不手際が見て取れる。