「白い牙(74)」

ZANNA BIANCA(伊)「白い牙」、 WHITE FANG(英)「白い牙」、劇場未公開

監督ルチオ・フルチ、脚本ピーター・ウェルベック、ベルト・ジャンビーティ、ピエロ・レニョーリ、ガイ・エルメス、トム・レイズ、ギヨーム・ルー、撮影パブロ・リボリ、音楽カルロ・リスティケリ、出演フランコ・ネロ、ビルナ・リージ、フェルナンド・レイ、ジョン・スタイナー、レイモンド・ハームストロフ、ミシャン、ダン・マーティン

カテゴリー( Franco Nero)

米国を代表する作家の一人ジャック・ロンドンの小説「白い牙」を原作とした、とされているが、狼犬の立場から人間の世界を描写する原作の主題からは外れ、町のボス、スミズ(ジョン・スタイナー)から父を殺されたインディアンの少年ミシャ(ミサエル)が愛犬「白い牙」と正義のジャーナリスト、スコット(フランコ・ネロ)の手を借りて敵討ちをするという勧善懲悪の単純な物語になってしまっている。さらに、西部劇としてのアクション要素も見られず、銃声すらほとんど聞かれない。その一方で、少年と犬の友情を軸にしたウオルト・ディズニー作品のようなほのぼのとした作風が、イタリア国内では人気を呼び、シリーズ物として本作を含め10本近くの作品が製作された。「ZANNA BIANCA」シリーズをマカロニウエスタンの範疇に含めるかは、議論が分かれるところであろうが、撃ち合いや馬によるアクションがほとんどなく、ヒーローもジャーナリストや善良な農夫などの設定、さらにカナダの雪原を舞台としたこのシリーズは、マカロニウエスタンと考えるには無理がある。しかし、マカロニで見慣れたスタッフやキャストを見ると無視するわけにもいかず、これから「ZANNA BIANCA」シリーズを挙げてみることにする。

 

IL RITORNO DI ZANNA BIANCA(伊)CHALLENGE TO WHITE FANG (英)「帰って来た白い牙(74)」監督ルチオ・フルチ、出演フランコ・ネロ、ジョン・スタイナー

第1作目で、死んだはずの悪党スミス(ジョン・スタイナー)が生きていて、ジャーナリストのスコット(フランコ・ネロ)に復讐を企てるという完全な続編。雪崩シーン、犬ぞりレースなどの見せ場が増え、第1作よりもアクション指数は高くなった。「名犬ホワイト・大雪原の死闘」の題名で、日本でもTV公開されている

 

ZANNA BIANCA ALLA RISCOSSA(伊) WHITE FANG TO RESCUE(英)「救出に向かう白い牙(74)」監督トニーノ・リッチ、出演マウリツィオ・メルリ、ヘンリー・シルバ

金鉱を発見したため町のボス、マレムース(ヘンリー・シルバ)一味から殺された友人の息子と愛犬を引き取り、友人の仇を討つ、正義の男バート・ハロウェイ(マウリツィオ・メルリ)の活躍を描く。

 

LA SPACCONATA(伊) WHITE FANG AND GOLD DIGGERS(英)「負け犬の遠吠え(74)」監督アルフォンゾ・ブレスチア、出演ロバート・ウッズ、ロバート・ハンダー、ペドロ・サンチェス

金鉱を相続したサンディ・ショウ(ロバート・ウッズ)は、息子と愛犬を連れて、金鉱に向かうが、金鉱を横取りしたい町のボス、タフト(ロバート・ハンダー)一味の妨害に合う。撃ち合い場面もあり雰囲気的にはマカロニの要素が高い。

 

ZANNA BIANCA E IL CACCIATORE SOLITARIO(伊) WHITE FANG AND HUNTER(英)「白い牙と孤独な狩人(75)」監督アルフォンゾ・ブレスチア、出演ロバート・ウッズ、ロバート・ハンダー、ペドロ・サンチェス

前作と全く同じスタッフ、キャストで制作された完全な続編。ただし、内容は時間的に続くものではなく、別の物語になっている。狩人のダニエル(ロバート・ウッズ)は、町の権力者ファーガソン(ロバート・ハンダー)から結婚を無理強いされる女性を助け、彼女との愛を成就させる。アルフォンゾ・ブレスチア監督、ロバート・ウッズ主演の2作品は、マカロニ度が高い上にアレッサンドロ・アレッサンドローニが流麗な音楽を流している。

 

IL RICHIAMO DEL LUPO(伊)THE GREAT ADVENTURE (英)「狼の呼び声(75)」監督アルフォンゾ・ブレスチア、出演ジャック・パランス、エリザベッタ・バージリ、フェルナンド・ロメロ、ジュリアン・コリンズ、マヌエル・デュプラス

荒野で父を失ったメアリー(エリザベッタ・バージリ)とジム(フェルナンド・ロメロ)の幼い姉弟が、罠から救った犬のバックと共に、町のボス、ウイリアム・ベイツ(ジャック・パランス)と対決する。愛犬の名前バックから、本作は、同じジャック・ロンドンの小説であっても「白い牙」ではなく「野生の呼び声」がその元ネタにあることが分かる。

 

ZANNA BIANCA NEL WEST(伊)「西部の白い牙(75)」監督ヴィト・ブルスキニ、出演トニー・ケンドール、ファブリツォ・マラニ、ゴードン・ミッチェル

西部にやって来た少年キッド(ファブリツォ・マラニ)ドが、拳銃ショーで生計を立てているアル中のフランキー・ジェームス(トニー・ケンドール)と愛犬「白い牙」の力を借りながら、金鉱堀の上前をはねる町のボス、チャールズ・ベンドルトン(ゴードン・ミッチェル)から金を奪い、町から追い出す。題名通り、カナダでなく西部が舞台になっており、撃ち合いもあって西部劇として成立している。ただし、内容は他作品と同じく、子供向けで、人も死なず、コメディ色も含みながら緩い展開で終始している。

 

BUCK AI CONFINI DEL CIELO(伊)「天国の緑のバック(91)」監督トニーニノ・リッチ、出演デビット・ヘス、ジョン・サベージ、ジェシー・アレクサンダー

父ダン(デビット・ヘス)、祖父トーマス(ウイリアム・バーガー)と暮らす少年ティム(ジェシー・アレクサンダー)が、愛犬バックとともに、祖父の死の謎を解き仇討をする。愛犬の名が「バック」ということなので、「白い牙」ではなく、ジャック・ロンドン原作の「野生の呼び声」が元ネタになっているということになるが、内容の違いは、ほとんどない。

 

BUCK E IL BRACCIALETTO MAGICO(伊)「バックと魔法のブレスレット(99)」

監督トニーノ・リッチ、出演マット・マッコイ、フランキー・ネロ

ダルトン一味から、家族を殺され、蓄えた財産を奪われた少年ケビン(フランキー・ネロ)が、魔法使いに助けられ愛犬バックと仇討をする。撃ち合いシーンもありウエスタンの雰囲気をもった作品であるが、魔法を使えるブレスレッドという内容からもはやマカロニウエスタンの範疇からは除外したくなる。

 

その他、すでに本ブログで解説したジョー・ダマト監督、ファビオ・テスティ主演の「GIUBBE ROSSE (深紅のコート)」や、ドイツ製でロン・エリーが主演した「DER SCHREI SCHWARZEN WOLFE(黒い狼の叫び)72」なども、白い牙シリーズの範疇に入るだろう。「黒い狼の叫び」は、氷をレンズのように加工して火を起こしたり、切れかけた縄に水をかけて凍らせ、補強するなどアドベンチャーとしての見どころは多い作品だった。