「ジャンゴ・灼熱の戦場(88)」

RITORNO DI DJANGO(伊)「帰ってきたジャンゴ」、DJANGO STRIKES AGAIN(英)「ジャンゴ死闘再び」、劇場公開作品

カテゴリー(Franco Nero)

監督テッド・アーチャー、脚本ネロ・ロザッティ、フランコ・レギアーニ、撮影サンドロ・マンコーリ、音楽ジャンフランコ・プレニツィオ、出演フランコ・ネロ、ドナルド・プリーゼンス、クリストファー・コネリー、リチ・リー・リヨン

1990年代、マカロニウエスタンの復活を強く望むファンにとって実に16年ぶりのイタリア製西部劇の日本公開である。フランコ・ネロがもう一度ジャンゴを演じたいと宣言していた通り、まさかと思われた、マカロニ西部劇新作の製作そして日本の劇場での公開となった。短期間のしかも限定された地域での公開のみであったが、マカロニの灯を消すまいという努力が続けられていることはうれしい限りだ。しかし、残念ながら、なぜかウエスタンというよりも南米を舞台にした冒険活劇として仕上げられており、西部劇としての魅力は希薄。ジャンゴの正式な続編を謳い文句にするならばやはり舞台は西部の町、ジャンゴにはプリムが前後に垂れ下がったマカロニハットを被って登場してほしかった。

今や修道士として穏やかな暮らしをしているジャンゴの元にかつての妻(あのマリアと同一人物か?)が現れ、自分の余命は残り少なく、娘マリソルを引き取って育ててほしいと依頼される。マリソルがいるという村に出かけてみると住民は虐殺され、マリソルは誘拐されていた。犯人は、ハンガリーの軍人で、今は銀山を所有し、現地の人間を拉致しては奴隷として強制労働させるオロウスキー(クリストファー・コネリー)の一味だ。オロウスキーたちは、巨大な蒸気船でアマゾン川(?)を移動しては川沿いの村を次々に全滅させていた。マリソルを追ってオロウスキーの船に乗り込んだジャンゴだったが、当然話が通じるはずもなく、ジャンゴも奴隷として働かされることになる。そこでオロウスキーの非道を目の当たりにしたジャンゴは、やはり囚われの身となっていたスコットランドの昆虫学者(ドナルド・プリーゼンス)の協力を得て脱出。自らの名前の墓に埋めてあったマシンガンを掘り出して、マリソルの奪回とオロウスキーの一味を倒すために戦う。

マシンガンとダイナマイトで大勢の敵を倒すアクションはなかなか派手で、マカロニウエスタンというより戦争アクションのノリで楽しめる。注目すべきは、ヨーロッパで販売されているビデオ版にのみ収録されているプロローグ。ウイリアムバーガーら、2人の老ガンマンがオロウスキーの巨大な軍艦に拳銃を持って立ち向かうが、大砲の1撃であっけなく吹き飛ばされてしまう。現代アクションの乱れ飛ぶ弾丸や派手なカーチェイスの前には、拳銃1丁で戦う西部劇の静かな決闘など、既に過去のものになってしまっていることを象徴するいささか悲しくなるシーンだ。しかし、死の瀬戸際でバーガー扮する老ガンマンがつぶやく。「そうだ、思い出したぞ。昔ジャンゴというガンマンがいた。」そう、ジャンゴの復活はマカロニファンにとっても唯一残された希望の星なのだ。