「オニオン流れ者(75)」

CIPOLLA COLT(伊)「タマネギ・コルト」、CRY ONION(英)「タマネギで泣け」、劇場公開作品

カテゴリー( Franco Nero)

監督エンツォ・G・カスティラーリ、脚本ルチアーノ・ビンツェンツォーニ、セルジオ・ドナーティ、撮影アレッサンドロ・ウロア、音楽グイド&マウリツォ・デ・アンジェリス、出演フランコ・ネロ、マーチン・バルサム、スターリング・ヘイドン、エンマ・コーエン

日本で劇場公開されるマカロニウエスタンの最後をこの作品が飾るというのはあまりにも寂しい。本作品は正真正銘のドタバタ喜劇。全編がギャグの連続で構成されている。農夫の土地を取り上げてそこから採掘される石油の利権を独り占めようとするボス、ラム(マーチン・バルサム)は、頑として土地を手放さなかった農夫フォスターを殺害する。そうした無法の町の現状を何とか訴えようと粉骨砕身する老ジャーナリストのピューリッツア(スターリング・ヘイドン)もラムの手下達から狙われることになる。

酒場で危機に陥ったピューリッツアを救ったのはタマネギを栽培する農夫オニオン・スターク(フランコ・ネロ)だった。薄汚い格好にもじゃもじゃ頭、タマネギの臭いをぷんぷんさせて登場するこの男は、なんとタマネギを囓ると100人力、 必殺のタマネギの汁を目つぶしに使ってピューリッツアを救出する。ピューリッツアの家で紹介された娘メアリー・アン(エンマ・コーエン)に一目惚れしてしまったオニオンは、彼女にいいところを見せようとピューリッツアに手を貸すことを約束する。

フォスター殺しを告発するため、亡きフォスターの遺族の元を訪れ、土地の権利書を預かるが、不覚にもラム一味から権利書を奪われてしまう。土地を奪われる前にラム一味の悪事を暴かねばならない。オニオンとピューリッツアは、フォスター殺しの真犯人の一人がラムの手下であるスティンキー(ロマーノ・プッポ)であることをつきとめる。しかし、証拠隠滅のためスティンキーは殺され、ラムの手下と化していた保安官(レオ・アンチェリス)によって、逆にオニオンたちが殺人犯にされてしまう。処刑間近フォスターの遺児たちの手で牢から脱出したオニオンとピューリッツアは、ピューリッツアの新聞によって真実を知った町民達の協力を得てラム一味を一掃する。

ラスト、爆風の中から現れるオニオンが決闘のテーマ曲にのって正調マカロニ風の決闘シーンを展開するところはなかなかよい。結局、降参したラムにオニオンは、タマネギ栽培を勧め、ラムも素直に従って農夫へと転身するのだが、なんと耕していたタマネギ畑から原油が噴き出してラストとなる。

米俳優マーチン・バルサムや、「大砂塵」の主演俳優スターリング・ヘイドンが出演するという話題性や、黄金や財宝ではなく、土地から産出される石油が目的という目新しさはあるものの、話はそっちのけでギャグが次々に繰り広げられる。タマネギを絞って目潰しに使ったり、義手が伸縮自在のメカを備えていたりという秘密兵器のギャグ。おんぼろ自転車や愛らしいポニーに乗って逃げ回ったり、マッドマックスを連想させるバイク集団が西部の町を走り回ったりという追っかけのドタバタギャグに代表されるおふざけシーンで全編が構成されている。

しかし、重要なポイントは、おふざけの善し悪しよりも、こともあろうに、薄汚い格好でおどけながら笑いをふりまく主演をフランコ・ネロが演じているという点だ。大口あけながらばたばた逃げ回るキャラクターなど全くネロには不似合い。ふざけてみせればみせるほど見ているこちらが悲しくなってきてしまう。監督エンツォ・G・カスティラーリ、主演フランコ・ネロというならば、なぜ「ケオマ(75)」を公開しなかったのか本当に不思議に思う。