「熊のジョナサン(94)」

JONATHAN DEGLI ORSI(伊)「熊のジョナサン」、JONATHAN OF THE BEARS(英)「熊のジョナサン」、劇場未公開

カテゴリー( Franco Nero)

監督エンツィオ・G・カスティラーリ、脚本フランコ・ネロ、ロレンツォ・デ・ルーカ、撮影ミハイリ・アグラノビッチ、音楽クライブ・リッチ、アレクサンダー・ビラエフ、ファビオ・コスタンチィーノ、ナイフィング・シグラ、出演フランコ・ネロ、ジョン・サクソン、ナイフィング・シグラ、メロディ・ロバートソン、エンニオ・ギロラーミ、ロビー・ローデス、デヴィッド・ヘス、エンニオ・ギロラーミ、ロドリゴ・オブレゴン、フロイド・レッドクロウ・ウエスターマン

マカロニウエスタンの灯火が完全に消えてなくなったと思われていた94年という時期に、フランコ・ネロとエンツィオ・G・カスティラーリ監督がまたやってくれた。ロシアとの合作西部劇という異色性もさることながら、その内容は生粋のマカロニウエスタン。しかも、人種差別の問題などもからませながら展開する物語は観る者に感動を覚えさせる素晴らしい作品に仕上がった。

幼いころ、4人組のならず者に開拓者の両親を殺されたジョナサン(フランコ・ネロ)はインディアンの部族に救われインディアンの一人として成長した。部族の中では恋人シャナ(メロディ・ロバートソン)や友人チャトウ(ナイフィング・シグラ)にも恵まれた幸せな日々であったが、彼の心から、両親を殺した仇のことが離れることがなかった。両親の仇討ちのために旅立ったジョナサンは、3人の仇を次々に倒していくが、最後の一人グッドウィン(ジョン・サクソン)は石油を採掘する企業のオーナーになっていた。インディアンの土地を油田開発のために狙いはじめたグッドウィンから平和な暮らしを守るため、そして自ら両親の仇を討つためにジョナサンの戦いが始まった。

両親の遺体を埋めた後、幼いジョナサンが小さな体に地面に届く程大きな父のガンベルトをかけて夕陽の中を旅立つ場面に始まり、森の小熊や優しいインディアンたちとの交流、そして捕らえられ町の教会にさらし者にされていたジョナサンを彼に共感を覚えた黒人の用心棒ウイリアムソン(ボビー・ローデス)が助けようとする描写など、アクションだけ派手な作品とはひと味違って心に残る描写が満載。

一方、肝心のアクションシーンも悪党一味とインディアンとの迫力ある集団戦や、宿敵のジョン・サクソン一派との決闘シーンなどはマカロニウエスタンとしての魅力も満点だ。特に、宿敵の隠れ場所を亡き母の形見のペンダントが知らせてくれるラストシーンは、因縁と小道具の生かし方が絶妙なマカロニウエスタンの真骨頂といえる。

途中、革のジャケットをまといモーゼル拳銃を手にした不良少年カスパー(ロドリゴ・オブレゴン)率いるグループが登場するが、これはロシアで社会問題化しているといわれる、人種差別を標榜した若者グループの横行を意識したものとも考えられる。こうした心に響く多くの要素、シャープなアクションシーンそして、マカロニ節とは趣を異にするものの、インディアンの民族音楽を基調にした音楽とすべてにおいて、水準を超えた傑作である。