「ロス・アミーゴス(71)」

LOS AMIGOS(伊)「友達」、 DEAF SMITH & JOHNNY EARS(英)「聾唖のスミスと聞き耳ジョニー」劇場公開作品

カテゴリー(Franco Nero)

監督パオロ・カバーラ、脚本アウグスト・フィノッキ、ルチア・ドルーティ・デンビー、パオロ・カバーラ、撮影トニーノ・デリ・コリ、音楽ダニエラ・パツッキ、出演アンソニー・クイン、フランコ・ネロ、パメラ・ティフィン、フランコ・グラチオーシ

イヌイットからマフィアのボス役まであらゆる役をこなせるアメリカの名優アンソニー・クインがマカロニに登場。なんとフランコ・ネロと共演を実現させた作品。しかし、70年代では、もはやマカロニウエスタンの運命は明らかであり、この作品も人々の印象に残ることはなかった。

流れ者のガンマンコンビ聾唖のスミス(アンソニー・クイン)と聞き耳のジョニー(フランコ・ネロ)は、元将軍のモートン(フランコ・グラシオーシ)がドイツの財力を得てテキサスの独裁者になろうとする陰謀を阻止するように依頼を受ける。二人は協力者であるマクドナルド大佐の元に赴くが、なんと大佐の屋敷はモートン一味の襲撃を受け女子供にいたるまでほとんどが惨殺されていた。生き残った娘に仇討ちを約束するスミスだったが、モートン一味は山中に巨大な要塞を作りあげると同時に、町では町民を扇動して反政府の準備を着々と進めている。マクドナルド大佐という後ろ盾を失った二人には、モートン一味を倒すだけの力は無い。しかも、ジョニーは娼館の売れっ子スージー(パメラ・ティフィン)に入れあげてしまい、もはや命懸けの大仕事などどうでもいいという有様になっていた。つ

いに二人は仲間割れし、ジョニーはスミスと別れる。単独で任務遂行をする覚悟を決めたスミスは、敵の要塞に侵入し、敵情を頭に入れると大量のダイナマイトを盗み出した。しかし、耳の聞こえないスミスは、敵の接近に気づかず、発見されてしまう。懸命に逃げるスミス。ついに岩山の洞窟に追い詰められ、もはやこれまでと死を覚悟したスミスは外に飛び出すが、そこには追っ手全員が死体となって転がっていた。別れたはずのジョニーがスミスのために戻ってきていたのだ。再びコンビを組んだ二人は、奪ったダイナマイトを武器に敵地に殴り込んだ。ダイナマイトとマシンガンを駆使して二人はついに一味を全滅させ、黒幕のモートンを倒す。

大金を手に意気揚々と引き上げる二人に、スージーも同行していた。荒野で野宿した翌朝、ジョニーとスージーの幸せな生活を願うスミスは、コンビを解消して夜のうちに一人静かに立ち去っていたのだった。スミスのことを心配して常に一緒にいようとするジョニー、花を愛でるスミス。そして中盤、子供たちの存在に気がつき襲撃をあきらめる展開など、それまでのマカロニとは一味違った優しさが強調されている点は好感がもてた。

だが、残念なことに寡黙で凄みのある2人の俳優を主役に据えたためにフランコ・ネロの個性を殺してしまった点だ。結局、口のきけないスミスとの対照の妙をねらってネロ演じるジョニーがおしゃべりでお調子者という設定になってしまったが、これが彼にはまるで似合っていない。最後まで紅一点のパメラ・ティフィンのお尻をおいかけるという役柄が何とも情けなくなってしまうのだ。また、いとも簡単に大勢の敵が立てこもる砦を壊滅させてしまうのもあまりに不自然。強大で圧倒的な敵役の存在があってこそ決戦の迫力が増すのだが、この作品では全力でたたき潰すべき宿敵がはっきりしないままで終わってしまう。去ったスミスを探して絶叫するジョニーのクローズアップで作品は静かに幕を下ろす。併せてこの叫びはマカロニの断末魔の叫びとなって我々の耳に響いてくるのだった。